「私、病気になっちゃった・・・・」

・・・それは、彼女の一言から始まった。









  闘  病  日  誌  












康「・・病気?」

・・康太が絵美に聞きなおした。

絵美「・・・うん、だからもうデートも出来ないの。」
康太「病気って・・何の病気なの?全然元気そうじゃん!」
絵美「・・わからない。日本では前例のない病気らしいの…、だから、私明日から入院しないと・・・、場所は..」







康太「・・・」
澄子「・・どうしたの?暗い顔して?ご飯冷めちゃうわよ。」
康太の母澄子が尋ねた。
康太「・・俺、明日から帰り遅くなる。」
澄子「どうして?」
康太「絵美が病気にかかって入院した。だから毎日通う。」
澄子「・・そんな重病なの?」
康太「わからない。けど、退院するまでは俺帰り遅くなるから。ごちそうさま。」
澄子「あっ・・。・・・もう。」



■ここからは長期にわかる康太と絵美のやりとりを日記に記したものである■




4月1日 入院初日

絵美「ぁ!康太来てくれたんだ!」
康太「うん、家にいてもしょうがないもん。」
絵美「・・あれ?部活は?」
康太「辞めた。絵美が治るまで俺が看病してやるから。」
絵美「そう・・ありがとう。」

・・・・・・・・・彼女は元気なようだ。


4月4日 医者(以後三宅医師)からの告知

康太「あの・・絵美の病名は・・?」
三宅「・・落ち着いてきいてくれ。」
康太「・・・はい。」
三宅「彼は・・」
康太「絵美は女です。」
三宅「あぁすまない、・・彼女は、まだ日本では例のない病原体に体を蝕まれているかもしれん。」
康太「・・そんな.. 命は?命は大丈夫なんですか?」
三宅「・・・・3%がいいところじゃろうか..」
康太「そんな・・・嘘だ・・絵美が死ぬなんて嘘だ!!!」
三宅「ぁいや10年以内に死ぬ確率じゃ)

・・・・・・・・・・彼女はどうやら未知の病原体に蝕まれているようだ。治療法もわからないらしい。・・・くじけそうだ。


4月15日 同じ病室の友蔵さんと仲良くなる。

ガチャッ・・
康太「絵美、元気だったk・・
絵美「あはははは!ともぞうさん面白いね!」
康太「・・!?」
絵美「ぁ、康太おはよ!ねぇ聞いて!友蔵さんたらすっごい面白いのよ・・」
友蔵「ですじゃー!ですじゃー!」
康太「・・・・・」

・・・・・・・・・・結局この日は友蔵さんが会話に交じってきてつまらなかった。
ともぞうさんは89歳らしい。死んでしまえ。


4月16日 同じ病室の友蔵さん、死去

ガチャッ・・
絵美「・・・・」
康太「どうしたの?」
絵美「・・・友蔵さんが死んだの。」
康太「・・・そうか。」
友蔵「うっそぴょーん!」
友蔵がベッドの下から出てきた!
ゴン!友蔵「ピギャ!」
が、ベッドの脚に頭をぶつけて本当に死んでしまった。
絵美「あははははは!友蔵さんおもしろ〜い!」

・・・・・・・・・・病院側も遺族に「病死」と伝えていた。
大人って・・汚い。


5月7日 今日は彼女の誕生日!

康太「ハッピーバースディ絵美!」
絵美「えへへ、ありがとう。・・開けていい?」
康太「もちろん。」
絵美「わぁ!これ・・・・エターナルソード?」
康太「指輪だよ。」
絵美「えへへ・・ありがとね!」
康太「・・ぁ、もしかして他に欲しい物とかあった?」
絵美「う〜ん・・・彼氏かな?」
康太・・oO(・・ぇ?じゃぁ俺は・・何?)」

・・・・・・・・・・傷ついた。否。これは彼女の病気の症状だと信じよう。
・・・ダメだくじけそうだ。


5月8日 イグアナを飼いだす

ガチャッ・・
康太「絵美、おひ・・うわぁ!何だそれ!?」
絵美「えへへ、イグアナ!パパが誕生日プレゼントに捕まえてきてくれたの!」
康太「へぇ・・つかま・・パワプルだね、絵美のお父さんって。」
絵美「うん、お父さん豆腐屋営んでるの!」
康太「へぇそうなんだ。・・・oO(!?)」
絵美「ぁ!康太そこにオシッコしちゃダメでしょ!ほら、ハウス!」
康太「・・へ?」
絵美「ぁ、この子『康太』って名前にしたんだ!だから康太がいない間も寂しくないの!」
康太「・・・・なんで?」
絵美「だってそっくりじゃん!(笑)」
そういって彼女はしばらく笑い続けた。

・・・・・・・・・もっと傷ついた。否。これも彼女の病気の症状だと信じよう。
・・・ダメだ目の前に不良がいたら喧嘩売っちゃいそうだ。


5月28日 病気の症状!?

ガチャッ・・
絵美「三宅医師、何か言ってた?」
康太「・・んーん、全然大丈夫だって、もうちょっとの辛抱だってさ!」
絵美「良かった、やっと退院できるのね。」
康太「うん!およそ2ヶ月・・長かったね。」
絵美「ね、でも結局症状何も出なかったね!」
康太「そうだn・・
絵美「カカカカカカカカッカカカッカッカカッカカカカカカカカッ」
康太「!?・・ど、どうしたの!?」
絵美「・・ぇ!?何?何!?」

・・・・・・・・・どうやら自覚症状ではないらしい。『不安』が僕の胸を脅かした。


6月12日 今日は僕の誕生日

ガチャッ・・
パァン!パァン!
銃声が2回鳴った。
康太「!?」
絵美「お誕生日おめでと!」
康太「・・ぁ、うん。ありが・・ぇ?いや・・今の銃声は・・クラッカーじゃないよね?」
絵美「エヘへ、クラッカーないから銃をクラッカーがわりにしようと思って、びっくりした?」
康太「・・・・いや、何でそんなの持ってるの?危ないじゃん!」
絵美「あ、お父さん豆腐屋営んでるの!」
康太「・・・oO(!?)」
絵美「はい!プレゼント!」
そういうと彼女は小さい長方形の箱を僕に手渡した。
康太「・・開けていいかな?」
絵美「ぁ、ダメ!周りに誰もいない広場か何かで開けてくれないと一般人が巻き添えくらっちゃうよ!」
康太「・・爆弾?」
絵美「嘘嘘、あけてみそ。」
康太「・・うん。」
中にはお札が入っていた。
えげつない。

・・・・・・・・・・確か去年は日本テレビの株をくれたっけ・・。


6月27日 三宅医師 暴露

康太「・・まさか何か進展があったんですか?急に呼び出して・・」
三宅「あぁ・・とりあえず落ち着いてきいてくれ。」
康太「・・・」
三宅「彼を・・」
康太「絵美は女です。」
三宅「彼女をX線で調べてみたところ・・全身に菌が・・」
康太「そんな!・・治療法はないんですか?あんた医者だろ?」
三宅「いやわし豆腐屋。」
康太「は!?」
三宅「バイトバイト。・・とりあえず未知な菌ゆえどうなるかはわからん・・。って言ってた。だから、最低限の覚悟はしておいてくれ。」
康太「・・・・」
三宅「・・保険には入っとるのか?」
康太「は!?」

・・・・・・・・・・日給1万円だそうで・・。


7月7日 今日は七夕

ガチャッ・・
絵美「ぁ、康太!みてみて!!笹と短冊作ってみたの!」
康太「へぇ・・立派なもんだね、・・何か願い事でも書こうか!」
絵美「うん!」


康太「出来た!」
絵美「私も!」
康太「何て書いた?俺は『絵美が早く治りますように』って」
絵美「私は『イグアナになりたい』って!」
康太「・・・イグアナ?」
絵美「えへっ!」

・・・・・・・・・・僕は人生で始めてイグアナに嫉妬した。


7月24日 クラスメイトがお見舞いに来る

ガチャッ・・
絵美「ぁ、康太ひ・・塩野君?」
塩野「よ、久しぶり。元気だった?」
絵美「うん!塩野君こそ!」
塩野「あぁ、元気一杯だぜ。ほらよ、旧クラスメイトからの千羽鶴。」
絵美「ありがと!」
塩野「・・それよりここマイナスイオン少なくないか?」
康太「oO(・・・)」
絵美「え〜・・そうかカカカカカカカカッカカカッカッカカッカカカカカカカカッな?」
塩野「な・・今のはメルニクス語!?」
康太「oO(・・・)」
絵美「ねぇ!そういや塩野君昨日の『スコラ哲学の全て』みた?」
塩野「あぁ見たぜ!アレすっげぇ面白かったよな!特にアンガールズが最高だったよな!」
絵美「嘘ぉ!?私アリストテレスの法則の方が面白かったわ......」

・・・・・・・・・・。


8月8日 虫を食べだす

ガチャッ・・
康太「おはよう絵美。」
絵美「おはよう。最近暑いわね。」
康太「そうだね、でもここはクーラーきいてて涼しいね。」
絵美「まぁ・・。だけど虫が多くて・・」
康太「ぁ、本当だ。よく見ると結構飛んでるね。」
絵美「・・・」
康太「・・絵美?」
シュッ プチッ パクッ
康太「!?絵美・・!?」
絵美「アーヒャッヒャッヒャッヒャ!」
康太「・・今、虫食べたよね?」
絵美「ぇ?私イグアナだよ?」
康太「・・・・.....」

・・・・・・・・・・重傷だ。


8月15日 自殺しようとする

ガチャッ・・
康太「絵美・・おは・・うわぁ何してんだ!」
絵美はベランダの柵をこえて飛び降りようとしていた。
康太「おい!落ち着け絵美!どうしたんだよ!」
絵美「放して!私なんて生きてても意味がないのよ!」
康太「落ち着け絵美!何があったんだ?話してみろ!ていうかここ2階の真ん中だから死ねないよ。隣の部屋にコンニチハだよ。」
絵美「・・・・。・・・よく考えたら塩野君に貸した『エンジョイ徳島』っていうDVDが返ってきてないの!もう生きる希望を失ったの!」
康太「わかったよ、俺が返してもらっとくから、死ぬなんて簡単に言うなよ!)
絵美「・・・・」」
康太「それに・・・俺がいるじゃないか。」
絵美「やっぱ死ぬ!」
康太「わぁ待てこらやめ・・」

・・・・・・・・・・『エンジョイ徳島』2004年度のDVD売り上げランキング3位に輝いていた。
売り上げの九割は徳島県民らしいけど。


8月27日 火を吹く

ガチャッ・・
絵美「ぁ、康太おはよ!」
康太「おはよ!何も異常はないね?」
絵美「もちろん!ぁ、そうそう康太聞いて、私火を吹けるようになったの。」
康太「ぇ?」
絵美「見ててね!」
ボォオオオ
確かに彼女は火を吹いた。
康太「・・・・」
絵美「あとねー!透視も出来るようになったの!」
康太「・・・・」
絵美「手からカメハメ波っぽいのも出せるようになったの!」

・・・・・・・・・・重傷ではすまない。


9月16日 語尾に「ニョン」がつく

ガチャッ・・
絵美「おはようだニョン!」
康太「あぁ、おはよう。」
絵美「あれ?髪切ったニョンか?」
康太「うん、どう?似合う?」
絵美「絶対受けるニョン!」
康太「・・ありがとう。・・・ん?あれ?・・・・何か語尾がおかしくないか?」
絵美「そうかニョン?普通ニョン。」
康太「・・・・...」

・・・・・・・・・・もう、近いのかもしれない。


10月2日 宣告 

三宅「康太君・・だったかな?」
康太「はい..」
三宅「・・彼女はもう、長くないかもしれない。」
康太「・・そうですか。・・・治療法は・・・見つからなかったんですね。」
三宅「・・・・私も全力を尽くしたんだが、治療に効きそうな薬は13種類あった。」
康太「じゃぁ使えよ!」
三宅「しかし日本には・・」
康太「ないのか?」
三宅「全種類揃っておる。」
康太「じゃぁ使えや!早く!」
三宅「いやわし医師免許もってないし(笑)」

・・・・・・・・・・その日の夜、僕は三宅医師を近くの土手に埋めた。


10月27日 日本語が喋れなくなる

ガチャッ・・
絵美「ピパプー!」
康太「・・え?」
絵美「§♀■○фζω?」
康太「・・・」
絵美「ブギョッモリー!ブギョッモリー!」
康太「ぇ?え?・・絵美?」
絵美「ピッピカチュー!」
康太「・・ねぇ、どうしたの?絵美!?」
絵美「ジョンイルマンセー!ジョンイルマンセー!」
康太「・・・・」

・・・・・・・・・・今日はずっとこの調子だった。・・・もう本当にダメなのかも知れない。


11月15日 終焉

ガチャッ・・
絵美「フハハハハハハハ!」
康太「・・・・今日もこの調子か..」
絵美「ねぇ・・康太。」
康太「!?」
絵美「・・・私、ずっと・・楽しかった。」
康太「絵美!喋れるのか!?」
絵美「私・・ずっとずっと・・貴方の事が・・・ブギョッモリー・・・」
バタッ・・・
彼女は息をひきとった..
康太「絵美ぃいいいいいいい!」
絵美「・・・・・」
康太「くそぉ・・・・ださい・・助けて下さぁああい!」
BGM:Your love forever.. 瞳を閉じて〜♪ 君をえg....


「愛」とは何か?
その素晴らしさを感じ取ってくれたら嬉しいです。


康太:リア友
絵美:某氏
澄子:某氏
三宅医師:某氏
塩野:某氏

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